マチナカ年代記

ぼくが考え、書いてきたこと。

2405:ショスタコーヴィチ『バビ・ヤール』~井上道義指揮、NHK交響楽団

こんにちは。

先日(24/05/05)、Eテレ「クラシック音楽館」の枠で放送されていたNHK交響楽団第2004回定期演奏会の模様を視聴いたしました。これは「NHKプラス」で5月12日(日)23時まで再生できるとのことです。ご覧いただけるとよいと思っています。

 

www.nhk.jp

 

【曲目】

1)ヨハン・シュトラウス/ポルカ「クラップフェンの森で」作品336
2)ショスタコーヴィチ/舞台管弦楽のための組曲第1番から「行進曲」「リリックワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」
3)ショスタコーヴィチ/交響曲第13番変ロ長調作品113「バビ・ヤール」

【演奏】

バス:アレクセイ・ティホミーロフ
合唱:オルフェイ・ドレンガル男声合唱団
指揮:井上道義
管弦楽:NHK交響楽団

(2024年2月4日 NHKホールにて収録)

今年演奏活動から引退することが決まっている井上道義さんとN響との、最後の共演として大きな話題となったこの公演は、ショスタコーヴィチの「問題作」交響曲第13番「バビ・ヤール」をメインに据えたものでした。

本作については、1985年か86年ごろから知ってはいました。1986年度のレコード・アカデミー賞交響曲部門に選出されていたのが、ベルナルト・ハイティンク指揮のCDでした。これを含めて、何点かの録音を聴いてもいました。しかしながら訳詞を見ながら聴いていたことはなく、今回所々ではありますが、字幕の形で確かめながら聴くことができたのは、大きな意義があったと思います。

標題の「バビ・ヤール」とは、1941年にナチス・ドイツがウクライナに侵攻した際にユダヤ人虐殺があった地名であり、エフゲニー・エフトゥシェンコの詩を用いて作曲された5楽章の交響曲の第1楽章には、その事件を描いた作品が用いられています。

私がテレビをつけた時には、既に前半のプログラムが終わろうとしていました。メインの「バビ・ヤール」が始まる前、井上さんによる力強いメッセージが映されていました。思いつくままに書いてみると、「本来2020年に演奏する予定だったが、コロナ禍で延期されてしまった。今回演奏が決まったのだが、とても複雑な気持ちである。世界の悲惨な現実が、歌詞に追いついてしまった。この状況は、『お前のせい』なんだということを受け止めなければならない」。

井上さんは、日本人としては唯一人、ショスタコーヴィチの交響曲全集を完成させています。この共演の演目として、「バビ・ヤール」を選んだのは、よくよく考えてのことと思いました。

 

 

なお、歌詞の全訳は以下で参照することができます。

 

darkhoneybass.info

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今回は以上といたします。お読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!