マチナカ年代記

ぼくが考え、書いてきたこと。

2403:「崖」~『石垣りん詩集』より

こんにちは。

未だ三分の一程度を読んだだけの『石垣りん詩集』ですが、今回も一作をご紹介いたします。Eテレ「100分de名著」テキストでの言及があるのか、未確認なのですが、いずれ確認しておきたいと思います。

 

 

戦争の終り。
サイパン島の崖の上から
次々に身を投げた女たち。

美徳やら義理やら体裁やら
何やら。
火だの男だのに追いつめられて。

とばなければならないからとびこんだ。
ゆき場のないゆき場所。
(崖はいつも女をまっさかさまにする)

それがねえ
まだ一人も海にとどかないのだ。
十五年もたつというのに
どうしたんだろう。
あの、
女。

~岩波文庫版『石垣りん詩集』p.113-114

*        *        *

ゆっくり、ていねいに味わって読んでいきたいと思っています。お読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!