マチナカ年代記

ぼくが考え、書いてきたこと。

2402:「表札」~『石垣りん詩集』より

こんにちは。

来月(2024年3月度)のEテレ「100分de名著」forユース全4回では、うち1回が文月悠光さんによる『石垣りん詩集』が紹介されます。以前どなたかに紹介いただいた、以下の「表札」が取り上げられるかなあと、勝手に想像しています。

*        *        *

表札

自分の住むところには
自分で表札を出すにかぎる

自分の寝泊りする場所に
他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことはない。

病院に入院したら
病室の名札には石垣りん様と
様が付いた。

旅館に泊っても
部屋の外に名前は出ないが
やがて焼き場の鑵(かま)にはいると
とじた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私がこばめるか?

様も
殿も
付いてはいけない、

自分の住む所には
自分の手で表札をかけるに限る。

精神の在り場所も
ハタから表札をかけられてはならない
石垣りん
それでよい。

*        *        *

 

 

また紹介する機会があればと思います。お読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!